顧客接点(タッチポイント)とは|種類と5つの強化施策・KPIを解説
|2025-12-17公開|2026-10-13更新
現代のビジネスにおいて、顧客が商品やサービスを知り、購入し、利用し続けるまでのプロセスは複雑化しています。「広告を出せば売れる」「良い商品を作れば選ばれる」という単純な方程式が通用しにくくなった今、企業が最も注力すべき領域こそが「顧客接点(タッチポイント)」です。
本記事では、顧客接点の定義と種類を整理したうえで、接点強化で目指す成果、準備・実施・検証の3つの工程で進める強化の手順、接点ごとのKPIの具体例、進めるときの注意点までを解説します。
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顧客接点(タッチポイント)とは
顧客接点(タッチポイント)とは、顧客が企業や商品・サービスと接するすべての場面を指します。広告を目にした瞬間、ウェブサイトで資料を読む時間、展示会のブースでの会話、購入後の問い合わせ対応まで含みます。企業側が用意したものだけでなく、口コミやレビューサイトのように企業が直接関与していない場面も接点の1つです。
顧客から見れば、これらはすべて「その会社の印象」として1つにつながっています。たとえば、ウェブサイトでは丁寧な説明だったのに、問い合わせの返信が事務的だったり、展示会で聞いた話と後日届いた提案書の内容が食い違っていたりすると、不信感につながります。企業側では別々の部門が担当した異なる場面でも、顧客にとっては同じ会社との連続した1つの体験です。
そのため顧客接点は、独立した点(個別の場面)ではなく、連続した線(一貫した顧客体験)として捉える必要があります。
顧客接点とチャネルの違い
顧客接点とよく似た言葉に「チャネル」があります。チャネルは、顧客に情報を届けたり商品を販売したりするための経路や手段そのものを指します。一方で顧客接点は、そのチャネルの上で実際に顧客と接触が発生した場面を指します。
| チャネル | 顧客接点 | |
|---|---|---|
| 対象 | 情報や商品を届ける経路・手段・媒体・場所 | 経路の上で実際に顧客と接触した場面・機会 |
| 具体例 | 広告・メール・Webサイト・SNS・展示会・コールセンター・実店舗など | Web広告の表示・問い合わせへの返信メール・展示会場での説明などの接触場面 |
| 管理 | 企業が設置、利用するかどうかを含め、直接管理・運用できる | SNSの投稿や口コミ、レビューサイトなど、企業が直接管理できない接点も発生する |
たとえば、「メール対応を改善する」という場合、チャネル単位では対象が広すぎて具体的な施策が見えにくくなります。「資料請求後の初回返信メール」なのか、「定期配信のメルマガ」なのか、「商談後のフォローメール」がなのか、接点の単位まで分解して捉えることで、誰が何を改善すべきかの議論を進めやすくなります。
顧客接点の種類
顧客接点は、オンラインかオフラインかという「場所」の軸と、購買前・購買時・購買後という顧客の「段階」の軸で整理できます。代表的な接点の発生場面は以下の通りです。
| プロセス(顧客の状態) | オンライン(デジタル) | オフライン(リアル) |
|---|---|---|
| 購買前 (認知・関心・比較) 課題に気づき、解決策を探している |
Web広告/SNS広告 オウンドメディア/ブログ SNS公式アカウント SNSのユーザー投稿/口コミサイト ホワイトペーパー 動画コンテンツ/オンラインセミナー |
テレビCM/新聞・雑誌・街頭広告 展示会/ショールーム イベント/セミナー 電話営業(テレアポ) 店頭チラシ/郵送DM 知人の口コミ |
| 購買時 (検討・購入・契約) 候補を絞り、社内を説得している |
公式Webサイト/ECサイト/LP Webチャット/問い合わせフォーム オンライン商談/インサイドセールス |
実店舗/店頭キャンペーン 販売員/コールセンター 訪問商談/フィールドセールス パンフレット/カタログ/提案書 |
| 購買後 (利用・保守・ファン化) 使い始め、続けるかを判断している |
サンキューメール/メルマガ カスタマーサポート(オンライン) 会員専用サイト/アプリ オンラインコミュニティ 動画マニュアル/FAQ ユーザーのSNS投稿/口コミ書き込み |
修理/メンテナンス対応 カスタマーサポート(対面支援) 定例ミーティング(訪問) ユーザー会/オフラインセミナー 操作説明書 顧客紹介/口コミ推薦 |
オンラインとオフラインの特徴
オンラインの接点は、顧客の行動がデータとして蓄積される点が大きな特徴です。ただし、残る情報の粒度は接点によって異なります。メールなら開封有無や閲覧ページまで把握できても、資料や動画のどの部分に関心を持ったかまで把握するのは、一般的な仕組みでは困難です。
一方、オフラインの接点は、顧客の反応をその場で直接受け取れる強みがあります。表情や質問内容から関心の度合いを察知し、臨機応変に対応を変えられます。しかし、その場で担当者が得た一次情報が社内に共有されにくいという弱点があります。
展示会で交わした深い会話が名刺情報だけで共有され、後日フォローするインサイドセールスや営業担当者が一から関係を作り直すケースは少なくありません。当社(LOOV社)がお客様と商談を行う際にも、「展示会で獲得したリードのフォローが遅れる要因は、現場の会話で得られた情報が途切れてしまうこと」とお悩みのお客様が多く見られます。
購買前・購買時・購買後で分類する重要性
接点を「購買前・購買時・購買後」の3つの段階で整理すると、各接点の目的や提供すべき情報が明確になり、自社の接点の偏りにも気づきやすくなります。
多くの企業で見られるのが、「購買前の接点が手厚く、購買時と購買後が手薄になっている」状態です。集客施策は数字での成果が見えやすく予算も付きやすいため、接点が自然と増えていきます。一方で、顧客社内での稟議・検討を後押しする接点や、導入後の定着を支える接点は、現場任せの属人的な運用やリソース不足に陥りがちです。
顧客接点の強化で目指す3つの成果
顧客接点の強化は手段であって、目的ではありません。目指す成果は以下の3つに大別され、優先する成果によって着手すべき顧客の段階が変わります。
- 新規顧客の獲得:購買前・購買時の接点を強化
- 顧客体験(CX)の向上:全段階を通じた一貫性の向上
- LTV(顧客生涯価値)の拡大:購買後の接点を強化
1. 新規顧客の獲得
購買前と購買時の接点を強化することで、見込み客との接点が増え、商談が前進しやすくなります。特にBtoBの購買プロセスでは、窓口の担当者が納得しても、決裁者・情シス部門・現場部門など社内の関係者を説得できなければ成約に至りません。
購買時の接点を強化し、購買決定に関わる各関係者が役割に応じて必要な情報を手軽に取得できる環境を整えることで、顧客社内の稟議をスムーズに進められます。
2. 顧客体験(CX)の向上
顧客体験(CX)とは、顧客が一連のやり取りの中で感じる利便性や印象の総体です。レスポンスの早さや説明の分かりやすさに加え、すべての接点を通じた「一貫性」が重要になります。接点ごとに説明内容が食い違ったり、同じ質問を何度も繰り返させたりするストレスを排除することで、企業への信頼感を醸成します。
3. LTV(顧客生涯価値)の拡大
LTV(顧客生涯価値)とは、1社(1人)の顧客が生涯を通じて自社にもたらす利益の総額です。購買後の接点の質は、契約継続やリピートの判断に直結します。導入初期のつまずきを迅速に解消できれば早期解約を防ぐことができ、運用定着後に追加の活用提案を行うことでアップセル・クロスセルによるLTV拡大が見込めます。
LTVの考え方と計算方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
参考:LTV(顧客生涯価値)とは?重要視される理由や計算方法、最大化させる施策まで徹底解説!
【準備】顧客接点を棚卸しして強化の優先順位を決める
具体的な施策に着手する前に、現状の接点を書き出し、課題を洗い出して優先順位を決定します。この準備を怠ると、成果につながりにくい接点にリソースを割いてしまったり、重複した施策を打ってしまったりする原因になります。
1. 顧客接点を棚卸しする
まず、以下のような棚卸し表を作成し、現在運用している自社の接点、またレビューサイトや口コミ投稿などの自社が直接設置や運用していないものも、把握しているすべての接点を書き出します。
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 運用している接点 把握している接点 |
場面の単位で具体化 記入例:「メール」ではなく「資料請求後の初回メール」など |
| 顧客の段階 | その接点が主に支える段階(購買前・購買時・購買後) 複数の段階にまたがる場合は併記 |
| 自社の担当 | その接点を運用している部門または担当者名 |
| 顧客がその接点で得るもの | その場面で顧客が受け取る情報や体験 |
書き出したあとに、次の3点を確認します。
- 顧客の段階で、接点が極端に少ない段階はないか
- 自社の担当者が、空欄になっている接点はないか
- 顧客が得るものが、不明確な接点はないか
担当者や顧客が得るものが曖昧な接点は形骸化している可能性が高く、見直しの第一候補となります。また、この棚卸し表は、次の課題の洗い出しでも、そのまま使います。
2. 顧客接点の課題を洗い出す
接点の課題を特定する実務的な方法は、企業側が接点に込めた意図と、顧客がその場面で感じていることのズレを探す方法です。ここで使うのがカスタマージャーニーマップです。
カスタマージャーニーマップとは、顧客が課題に気づいてから購入し、使い続けるまでの流れを時系列で並べ、段階ごとの行動と感情を書き込んだ図です。ここでは、前述の棚卸し表に「顧客の行動」「企業側の意図」「顧客の感情」を追加して、簡易的なマップを作ります。
「顧客の感情」には推測ではなく、商談の議事録、問い合わせ履歴、サポート対応ログ、アンケート結果などの自社で得られた一次情報を記載します。
各項目を埋めて、以下の2つの課題を見つけます。
| 課題の種類 | 状況の具体例 |
|---|---|
| 意図と感情のズレ | 商談後のフォローメールで「社内で共有して稟議を進めてほしい」という企業側の意図に対して、顧客側は「関係部門別に情報整理や資料を分ける作業」が重く後回しにしている状態 |
| 接点の抜け | 顧客が社内で決裁者に説明し、検討を進めている段階に、自社の接点が存在せず、「決裁者向けの情報不足している」問題に対して支援できていない状態 |
このマップは部門ごとではなく、マーケティング・営業・カスタマーサクセスが共通のものを作成します。全社横断で作成することで、部門間の引き継ぎ部分で発生する接点の連携漏れを防げます。
3. 強化する接点の優先順位を決める
洗い出した課題の中から、改善に着手する接点を3つの基準で絞り込みます。
| 基準 | 確認すること |
|---|---|
| 目指す成果への寄与度 | 新規顧客の獲得・顧客体験の向上・LTVの拡大の中で、最優先の目標に直結しているか |
| 顧客の離脱・行動停滞の有無 | 問い合わせが途切れる、商談の長期化、資料や動画の離脱などが、顕著に発生しているか |
| 費用対効果 | 投入する工数・費用に対して十分な成果が見込めるか |
費用対効果を判断する際は、初期の構築工数だけでなく、毎月の運用・更新の工数まで含めて見積もることがポイントです。投じるリソースに制限がある場合、改善効果が大きい施策であれば、既存の優先度の低い業務を停止したり外部委託を活用したりして、必要なリソースを確保して進めます。
【実施】顧客接点の課題に応じた5つの強化施策
強化着手の優先順位を決めた接点に対して、課題に合わせて施策を選択して実行します。
| 課題 | 課題に合う施策 |
|---|---|
| 顧客が何を知りたいのか分からない | 1. 顧客理解を深める |
| 部門ごとに説明や情報が食い違う | 2. 社内連携を強化する |
| 接点はあるが、中身が顧客の段階に合っていない | 3. 顧客の段階に合わせてコンテンツを最適化する |
| 全員に同じ内容を届けていて反応が薄い | 4. コミュニケーションをパーソナライズする |
| 顧客が動いている段階に接点そのものが無い | 5. 抜けている接点を追加する |
1. 顧客理解を深める
すべての施策の基盤になるのが、顧客が各段階で必要とする情報を正確に把握することです。そのため、顧客が何を知りたがっているかを継続的に拾う仕組みが必要です。
最も有効な材料は、自社が直接収集した一次情報(ファーストパーティデータ)です。日々の商談での質疑応答、問い合わせの文面、サポート窓口への相談ログ、動画の視聴完了データなどは、顧客の関心そのものを反映しています。
収集した情報はペルソナに反映し、属性情報だけでなく「各段階で知りたいこと」まで整理して、具体化します。
| 段階 | ペルソナが知りたいことの例 |
|---|---|
| 購買前(認知/関心/比較) | 自社の課題は解決可能か、他社はどのように解決しているか |
| 購買時(検討/購入/契約) | 自社の運用体制や環境で実現可能か、決裁者をどう説得すべきか |
| 購買後(利用/保守/ファン化) | 導入初期のつまずきをどう解消するか、活用範囲をどう広げるか |
ここで整理した「顧客に必要な情報」の一覧が、後述するコンテンツ設計の基準になります。
2. 社内連携を強化する
マーケティング、営業、カスタマーサクセスがそれぞれ別々のツールで履歴を管理していると、顧客体験は分断されます。
対策としてCRM(顧客関係管理ツール)等で情報を集約します。「顧客の現在の課題」「過去の接点で提示した内容」「次回約束している内容」の3点を最低限共有するだけでも、引き継ぎ時の二度聞きや説明の不整合を大幅に減らせます。
さらに、準備段階で作成したカスタマージャーニーマップを関係部門で共有し、自部門の前後の接点で顧客が何を体験しているかを全員が把握できるようにします。連携を進める際は、「営業部門の商談準備工数が削減できる」といった相手部門の実利を提示することが社内合意を得るコツです。
3. 顧客フェーズに合わせてコンテンツを最適化する
接点は用意されているものの効果が出ていない場合、提供しているコンテンツと顧客の段階がミスマッチを起こしている可能性があります。
「購買前のユーザーに詳細な機能一覧を提示する」「購買検討中のユーザーに概要レベルの情報しか提供できていない」といったズレを修正します。
| 段階 | 置きたいコンテンツの例 |
|---|---|
| 購買前(認知/関心/比較) | 課題整理を支援する解説記事、市場動向レポート、基礎解説資料 |
| 購買時(検討/購入/契約) | 決裁者・情報システム部門向けの要点整理資料、業種別導入事例、運用フロー解説動画 |
| 購買後(利用/保守/ファン化) | 初期セットアップガイド、よくある質問への回答、高度な活用事例 |
特にBtoBの購買では、顧客社内での説明材料の提供が成否を分けます。担当者が稟議書にそのまま添付・引用できる比較表や費用対効果資料を用意することで、社内検討の停滞を防ぐことができます。
4. コミュニケーションをパーソナライズする
施策3が「段階ごと」の最適化であるのに対し、本施策は「顧客個々の反応や属性」に応じた最適化です。
代表的なアプローチがMA(マーケティングオートメーション)によるシナリオ配信です。資料をダウンロードした顧客や料金ページを複数回閲覧した顧客など、行動データに基づいて配信内容やタイミングを切り替えます。
もう1つのアプローチが、視聴者自らが関心のあるテーマを選べる「インタラクティブ動画」の活用です。1本の動画内で、決裁者には「費用対効果」、実務担当者には「操作手順」、情シス部門には「セキュリティ」を選択させることが可能です。接点自体を増やすことなく、相手に応じた情報提供を実現できます。さらに、誰がどの選択肢を選んだかのログが残るため、次回の商談やフォローの材料としても活用できます。
動画で顧客ごとに内容を出し分ける具体的な方法は、以下の記事にまとめています。
参考:パーソナライズ動画とは?成果につながる活用方法と導入事例を解説
また、商談前から受注後まで、営業のどの場面で動画を渡せるかは、以下の記事で解説しています。
参考:営業活動で動画を活用する5つの方法|営業プロセス別の活用法と事例を解説
5. 抜けている接点を追加する
カスタマージャーニーマップの分析によって、顧客が意思決定や利用を進めているにもかかわらず自社の接点が存在しない「抜け」が判明した場合、新たな接点を新設します。
接点の抜けが生じやすいポイントは、主に以下の2つです。
- 購買時(社内検討・稟議フェーズ)
- 商談後の顧客社内の検討期間は、顧客側にボールがある状態で、接点が抜けやすいポイントです。担当者が社内関係者を説得するプロセスに自社の接点がないと、社内調整の難航により商談が失注・長期化しやすくなります。決裁者向けの要約資料や、社内関係者全員がWeb上で手軽に確認できる解説コンテンツなどを配置し、検討を支援します。
- 購買後(導入定着後の安定フェーズ)
- オンボーディングが終わり、一旦利用が定着すると顧客からの連絡が減り、落ち着いた状態となりますが、この期間も接点が抜けやすいポイントです。この期間に接点がないと、利用しているものの、連絡するほどではない小さな不満の蓄積や顧客が求める成功体験に到達していないことに気づけない状態になります。
この状態が続くと不満を言わず静かに解約する「サイレントカスタマー」を生む要因になります。メルマガ配信や定例ミーティング、ユーザー会の開催などの定期的な接点を設定することで、静かな解約を防止し、顧客の成功を導き、利用継続につなげます。
【検証】顧客接点ごとにKPIを設定して効果を評価する
接点を改善・新設した後は、接点ごとにKPI(重要業績評価指標)を設けて効果を検証します。BtoB領域では施策の効果が最終的な受注やLTVに反映されるまで一定期間を要するため、先行指標の変化を捉えることが重要です。
施策効果は「接触・反応・次の行動」の変化で見る
接点の改善施策が最終的な成果につながる前に、3つの変化を捉えることで、施策の効果を見ることができます。
| 対象 | 判断すること | 取得する情報 |
|---|---|---|
| 接触 | 接点が顧客に届いているか | 接触場面の「数の増減」 |
| 反応 | 提供した情報に顧客が関心を持ったか | 視聴完了率、クリック率、選択データ、返信の有無、追加依頼や相談内容などの「反応の質」「顧客の感情の変化」 |
| 次の行動 | 顧客が次の段階へ進んだか | 商談化や見積依頼など「期待する行動の増減」 |
接点の接触場面が少なければ、接点の内容(情報・体験)を改善しても結果は変わりません。接触はあるのに反応が薄ければ、内容が合っていないか、不足しています。反応はあるのに顧客が次の行動に進まなければ、導線設計(次のステップへの誘導)に課題があります。
洗い出した顧客接点の課題に対して、実施した施策の効果がどの変化につながるか、上記の3つの変化で大きく捉え、次節でさらに詳細に分解された指標(KPI)の増減や推移、比率を施策実施の前後を比べて効果検証をします。
認知から推奨までのKPIの具体例
顧客接点の強化で施策の効果検証に使えるKPIを、顧客の検討の流れに沿って整理しました。
| 段階 | 顧客の動き | 主な接点 | KPIの例 |
|---|---|---|---|
| 購買前 | 認知 | Web広告、SNS、展示会 | 広告の表示回数、展示会での名刺獲得数、指名検索数、セッション登録数 |
| 関心 | オウンドメディア、メルマガ、ウェビナー | 記事の閲覧数、ウェビナーの参加数、メルマガの登録数・開封率・クリック率 | |
| 比較・検討 | サービス資料、動画、問い合わせフォーム | 資料ダウンロード数、動画の視聴完了率、問い合わせ件数、見積依頼数 | |
| 購買時 | 商談・稟議 | 商談、提案書、稟議用の資料 | 商談化率、提案資料の社内での閲覧数、商談から受注までの日数、成約率 |
| 購買後 | 利用・継続 | サポート、ヘルプサイト、定例ミーティング | オンボーディング完了率、問い合わせ件数、初回解決率、継続率、解約率、LTV |
| 推奨 | 紹介、事例取材、ユーザー会 | NPS(顧客推奨度)、紹介件数、事例掲載への協力数、ユーザー会の参加率 |
すべての指標を追う必要はありません。強化対象となった接点に関わる指標を追跡して、実施する施策の精度向上につなげます。
指標の変化を見たあとに接点をどう直すか
各指標の変化から、もう一度「接触・反応・次の行動」のどこで、顧客が止まっているか、離れているかを確認、見直しの対象となる接点を特定して、改善サイクルを回します。
| 追加改善対象となる状況 | 見直しの方針 |
|---|---|
| 接触が少ない | 情報の置き場所や届け方を見直す。情報や体験の改善は、接触数が増えるまで保留する。 |
| 反応が薄い | 情報や体験内容を見直す。施策1で拾った顧客の関心と、接点で伝えている情報や体験がずれていないかを確認する。 |
| 次の行動につながらない | 次の段階への案内を見直す。問い合わせや商談の申し込みに進む導線が分かりにくくないかを確認する。 |
接点の数値確認は週〜月単位で行い、カスタマージャーニーマップの全体更新は半期ごとを目安に行うことで、改善サイクルを定着させます。組織変更や商品の追加があったときは、時期にかかわらず更新してください。
顧客接点の強化で注意する4つのポイント
1. 接点の運営や対応が属人化する
特定の担当者のみに運用のノウハウや顧客情報が依存していると、異動や退職の際に接点の質が急激に低下します。運用の手順書やマニュアルを早期に整備し、重要接点においては複数名での担当体制を築くことが求められます。
2. 接点ごとに情報や体験が分断される
部門間の連携不足により、顧客に同じ説明を何度も繰り返させたり、過去の履歴を把握していない対応を行ったりすると、顧客満足度は大きく低下します。CRMなどのツールで対応履歴を一元管理するとともに、カスタマージャーニーマップを全社で共有して、自部門以外の接点への理解を深めることが不可欠です。
3. 接点の施策が単発で連動しない
個々の接点で施策を打っても、前後の文脈が分断されていては期待通りの成果につながりません。ウェビナーで関心の高かったトピックをフォローメールの冒頭で掘り下げるなど、「前の接点で得た情報」を必ず「次の接点の設計」に反映させることが重要です。
セミナー・ウェビナーの後に参加者の関心を高めていく進め方と、商談の前に動画を送って相手の関心をつかんでおく方法は、それぞれ以下の記事で紹介しています。
参考:リードナーチャリングに効果!見込み顧客の関心を高める動画活用術
参考:商談前のアプローチが受注率を左右する!アポの質を劇的に高める「視聴データ」活用のススメ
4. 接点を増やすこと自体が目的になる
リソースに余裕がない状態で無計画に接点(公式SNSやブログなど)を増やすと、更新が途絶えたり対応が遅れたりして、かえって企業の信頼を損なう原因になります。新設する際は継続的な運用工数を試算し、品質を維持できる体制を整えたうえで開設することが重要です。
顧客接点の改善事例
接点の改善策にインタラクティブ動画を活用して情報提供をパーソナライズした成功例を、Video Agent「TALKsmith」を提供するLOOV社の事例から紹介します。
株式会社Soraプロジェクトでは、年間1万件近くを獲得する見込み客を少人数の体制で、顧客の興味関心に合わせて丁寧に対応することが物理的に難しくなっていました。このような状況に対して、商談前後の接点の改善に着手されました。
具体的には、展示会後のお礼メールや初回商談後のフォローメールにおいて、顧客の多種多様な課題に合わせて説明をインタラクティブに変えることができるVideo Agentを人の代わりに「自律的に動けるコンテンツ」として送付することで、受注率を3倍に改善することに成功しています。
参照:受注率が3倍に!初回商談後の“AIプレゼン Videoのひと押し”で、営業が変わる ——soraプロジェクトの実践ノウハウとは
まとめ
顧客接点は、顧客が企業と接するすべての場面を指します。オンライン・オフラインの区分だけでなく、「購買前・購買時・購買後」のどの段階を支える接点かという視点で整理することで、自社が強化すべきポイントが見えてきます。
顧客接点の強化は、以下の3工程で着実に進めましょう。
- 準備:棚卸し表とカスタマージャーニーマップで接点の偏りや抜けを可視化し、優先順位を決める
- 実施:課題に合わせて、顧客理解・社内連携・コンテンツ最適化・パーソナライズ・接点新設を行う
- 検証:接触・反応・次の行動の3視点でKPIを設定し、ボトルネックを特定して改善する
まずは棚卸し表を作成し、自社の既存の接点を書き出すところから始めてみてください。
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顧客接点の強化で、よくある質問
Q1. 顧客接点とカスタマージャーニーの違いは?
顧客接点は「顧客と企業が接する個々の場面(点)」を指し、カスタマージャーニーはそれらの場面を「顧客の行動の流れに沿って時系列でつないだ全体像(線)」を指します。
Q2. 顧客接点は何個くらい持つのが適切ですか?
固定の適正数はありません。目安となるのは、各接点に担当者が配置され、品質を保った運用・更新が継続できているかどうかです。維持工数と得られる成果のバランスを見極めて判断します。
Q3. 顧客接点の強化はどの部署が担当すべきですか?
強化全体の主管部署は、目指す成果によって判断します。「新規獲得」なら営業やマーケティング部門、「CX向上」なら営業企画やCX推進部門、「LTV拡大」ならカスタマーサクセス部門が主導するのが一般的です。その上で、購買前はマーケティング、購買時は営業、購買後はカスタマーサクセスといったように各接点の主担当を明確にし、部門間の連携ルールを事前に策定しておきます。
Q4. BtoBとBtoCで顧客接点の考え方は違いますか?
接点を棚卸しして課題を特定する基本的な手順は同じです。大きく異なるのは、BtoBでは1つの購買決定に担当者・決裁者・情シス部門・現場責任者など複数の関係者が介在する点です。そのため、接点ごとに「顧客の誰が関わる接点なのか」を明確に定義して設計する必要があります。


