研修資料の作り方|5つの手順と構成テンプレート・見直しの観点
|2025-07-25公開|2026-09-30更新
研修資料とは、研修の目的とゴールに沿って伝える内容を整理し、受講者が学んだことを実務で再現できるようにするための資料です。
研修を任されたとき、次のような状態になっていないでしょうか。
- 日程だけが先に決まり、何から手をつければいいか分からない
- 過去の資料は残っているが内容が古く、そのままでは使えない
- 情報を詰め込んでしまい、受講者に伝わる形になっているか自信がない
- 時間をかけて作った資料が、その1回で使われなくなってしまう
研修資料は、スライドを作り始める前の設計でほぼ決まります。目的とゴールを先に決め、受講者の現在地に合わせて扱う範囲を絞れば、限られた準備時間でも研修として成立する資料になります。
本記事では、研修資料の作り方を5つの手順で解説し、そのまま使える基本構成のテンプレート、テーマ別の構成例、見やすく整えるデザインの観点、形式の選び方、そして作成時につまずきやすい課題とその対処法まで紹介します。
受講者がどこでつまずいたか分かる
研修資料をつくりませんか
研修資料の作成で、次のようなお困りごとはありませんか。
- 同じ研修を毎回人が説明していて、話す人によって内容と質が変わってしまう
- 研修のたびに資料作成と会場確保の工数がかかっている
- 研修後のアンケートでは満足度しか分からず、資料のどこでつまずいたのかが残らない
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研修資料の作り方5つの手順
研修資料は、スライドを開く前に決めることが5つあります。研修のゴール、扱う範囲、全体構成、資料と口頭の分担、見直しの観点です。前の手順で決めたことが次の手順の判断材料になるため、上から順に決めていってください。
手順1. 研修の目的とゴールを明確にする
最初に決めるのは、資料の中身ではなく「受講者が研修の翌日から何をしている状態か」です。ここが決まらないまま作り始めると、伝えたい情報がすべて同じ重さに見えてしまい、優先順位のない資料になります。
ゴールは「理解する」「意識する」といった言葉ではなく、誰が見ても確認できる行動として書きます。
- 「ビジネスマナーを理解する」ではなく「来客対応の受付から見送りまでを、先輩の同席なしで一通り実施できる」
- 「ハラスメントについて学ぶ」ではなく「自分の発言が判断に迷う内容だったとき、相談窓口に連絡できる」
- 「提案力を高める」ではなく「初回商談で、決裁の流れを聞き出したうえで次回の打ち合わせを設定できる」
行動の形にしておくと、後の手順で「このスライドは必要か」を判断できます。ゴールに書いた行動に関係しない情報は、どれだけ有益でも今回の資料には入れません。
手順2. 扱う範囲を絞る
次に、受講者が今どこまで知っているのかを確かめます。ゴールと現在地の差が、この研修で扱う範囲です。この現在地は、こちらで想像しても正確にはつかめません。研修の1週間ほど前に、受講者本人へ次の3問を事前アンケートで聞いておきます。
- 今回のテーマについて、これまでに研修や説明を受けたことがあるか
- 実務でこのテーマに関わったことがあるか。ある場合は、どの場面か
- 今最も困っていること、または不安なことは何か
事前アンケートで多かった困りごとは、そのまま本題の章立ての順番に使えます。逆に、全員が既に知っている内容は資料から外します。ここで範囲を絞れないと、次の手順で組む構成が膨らみます。事前課題を用意する場合も同じ考え方で、受講者に現在地を自覚してもらう内容にすると、当日の理解が早くなります。
手順3. 全体構成を組む
扱う範囲が決まったら、受講者の思考の流れに沿って並べ替えます。基本の型は、導入で「なぜこれを学ぶのか」を共有し、本題で知識を渡し、演習で使ってみて、まとめで実務への持ち帰りを決める、という4段階です。
| 段 | 役割 | 分量の目安 |
|---|---|---|
| 導入 | 研修の目的とゴール、当日の流れを共有する | 全体の1割 |
| 本題 | ゴールに必要な知識と判断基準を渡す | 全体の5割 |
| 演習 | 実務に近い場面で使ってみる | 全体の3割 |
| まとめ | 重要点の再確認と、翌日からの行動を決める | 全体の1割 |
分量の配分で迷いやすいのが演習です。知識を渡すだけの研修は、受講直後は理解できたように見えても、実務の場面で判断が変わると再現できません。手順1で決めたゴールが行動の形になっているなら、その行動を一度その場で試してみる時間を必ず確保します。
手順4. 資料に載せることと、口頭で話すことを分ける
構成が決まったら、それぞれの内容をスライドに書くのか、講師が話すのかを決めます。ここを分けないまま作ると、話す内容をすべて書き写したスライドになり、受講者は講師の話を聞かずに文字を読み始めます。分ける基準は、研修後に見返す必要があるかどうかです。
- 資料に書くこと
- 定義、判断基準、手順、数値、参照先。研修が終わったあとに受講者が確認しに戻る情報です。これらを口頭だけで伝えると、確認したくなった受講者は手元で調べられず、その都度担当者に聞くことになります。
- 口頭で話すこと
- 具体的なエピソード、自社での失敗例、質問への回答。その場の空気や受講者の反応に応じて調整する内容で、文字にすると分量が増えて要点が埋もれます。話す内容はスライドに書かず、ノート欄に書きます。ここを分けておくと、別の人が同じ研修を担当するときに、引き継ぎやすくなります。
手順5. 配布前に受講者の目線で見直す
最後に、作成者以外の人が受講者の立場で通して読みます。作成者は内容が分かっているぶん、説明が飛んでいても気づきにくいためです。
見直しは次の観点で行います。
- 手順1で決めたゴールの行動が、資料のどこで扱われているか
- 受講者がまだ知らないはずの言葉を、説明なしで使っていないか
- 1枚のスライドに複数の主張が入っていないか
- 演習の指示だけを読んで、受講者が何をすればよいか分かるか
- 研修の翌日に見返したとき、判断に必要な情報が資料に残っているか
そのまま使える研修資料の基本構成テンプレート
手順3で組んだ4段階を、実際のスライドの並びに落とすと次の形になります。テーマが変わっても、この骨格は共通で使えます。

表紙・タイトル

研修名と対象者が一目で分かるようにします。実施日、対象者、講師名または主催部署を入れておくと、後から資料を探すときにも見つけやすくなります。
アジェンダ

当日の流れを共有するページです。項目を並べるだけでなく、それぞれにかける時間を書き添えると、受講者は自分の集中力の配分を決められます。
研修の目的とゴール

手順1で決めた「受講後にとってほしい行動」をそのまま書きます。ここを最初に見せることで、受講者は本題のどこに注意を向ければよいかを判断できます。
本題

ゴールに必要な知識と判断基準を渡すページ群です。「なぜ必要か」から「どう実践するか」までを一続きで並べ、途中で別のテーマに逸れないようにします。
演習・ワーク
学んだことを実務に近い場面で使ってみるページです。設問だけでなく、取り組む時間、進め方、発表の有無まで書いておくと、当日の説明が短く済みます。
振り返りとアクション設定

重要点を再確認したうえで、受講者それぞれが翌日からの行動を書き出すページです。「何を、いつまでに、どのように実施するか」を書く欄を用意しておくと、研修が実務につながります。
テーマ別|研修資料の構成テンプレート3選
基本構成をテーマに合わせて具体化した例です。本題と演習の中身がテーマごとに変わります。
新入社員向けビジネスマナー研修
社会人経験のない受講者が対象になるため、なぜそのマナーが必要かという前提から扱います。専門用語を避け、判断に迷う場面を具体的に見せる構成にします。
- 表紙・タイトル
- アジェンダ
- 研修の目的とゴール
- マナーが必要な理由(相手がどう受け取るかの視点)
- 言葉遣いと敬語の基本
- 身だしなみ
- 電話とメールの対応
- 来客対応と訪問時の作法
- 演習:OKとNGを判断するミニワーク
- 振り返りとアクション設定
演習では、正解を選ばせるだけでなく「なぜそう判断したか」を言葉にしてもらいます。判断の理由が言えれば、資料に無い場面にも応用できます。
ハラスメント防止研修
知識を伝えるだけでは、受講者が自分に関係のある話だと受け取りにくいテーマです。判断の境界線を扱う演習を中心に据えます。
- 表紙・タイトル
- アジェンダ
- 研修の目的とゴール
- ハラスメントの定義と種類
- 法令と社内規程で定められていること
- ケーススタディ(判断が分かれる場面の事例)
- 演習:この発言は問題になるかを考えるワーク
- 相談を受けたときの対応と社内の相談窓口
- 振り返りとアクション設定
事例は感情的な表現を避け、事実の記述にとどめます。判断の根拠が事実に置かれていれば、受講者は自分の職場の場面に置き換えて考えられます。
営業力強化研修
知識の理解よりも、商談で再現できるかどうかが問われるテーマです。演習とフィードバックに全体の半分近くを充てます。
- 表紙・タイトル
- アジェンダ
- 研修の目的とゴール
- 自社の営業プロセスの整理(どこで失注しているか)
- ヒアリングで押さえる項目と聞き方
- 提案書の構成と、顧客の社内で回覧されても伝わる書き方
- 演習:実際の案件を題材にした提案演習
- フィードバックと相互レビュー
- 振り返りとアクション設定
演習の題材は、社内で実際に起きた案件をもとに作ります。予算や決裁者の制約が入っていない理想的な案件では、実務で直面する判断が演習に出てこないためです。
見やすい研修資料に整えるデザインの5つのポイント
デザインは装飾ではなく、受講者が内容を理解するための手段です。次の5点を押さえるだけで、読みやすさは大きく変わります。
1スライド1メッセージにする

1枚に複数の主張を載せると、受講者はどれが重要か判断できません。伝えたいことが2つあるなら、スライドを2枚に分けます。
色は3色以内に絞る

基本色、補助色、強調色の3色に絞ります。色が増えるほど、強調したい箇所が目立たなくなります。
余白を取る

情報を詰め込むより、余白で内容のまとまりを示したほうが読みやすくなります。文字を小さくしてでも入れたい情報が出てきたときは、そのスライドが扱う範囲が広すぎるサインです。
レイアウトを統一する

タイトルの位置、本文の開始位置、画像の配置をページ間で揃えます。配置が変わるたびに、受講者は内容ではなく見た目の違いに注意を奪われます。
文章を図解とグラフに置き換える

手順や関係性を説明する箇所は、文章より図のほうが早く伝わります。ただし、判断基準や数値は文字で残します。図だけにすると、後から見返したときに正確な情報が読み取れません。
研修資料の形式4種類と使い分け
同じ内容でも、どの形式で用意するかで準備の手間と使える範囲が変わります。形式の説明に入る前に、選ぶときの判断基準を先に整理します。
| 判断の観点 | スライド資料 | 配布資料 | 動画教材 | ワークシート |
|---|---|---|---|---|
| 講師の同席 | 必要 | 不要 | 不要 | 必要な場合が多い |
| 同じ内容を繰り返し使うか | 都度の実施向き | 繰り返し使える | 繰り返し使える | 都度の実施向き |
| 更新のしやすさ | 差し替えやすい | 差し替えやすい | ツールにより幅がある | 差し替えやすい |
| 初回の作成工数 | 中 | 中 | 大 | 小 |
| 受講者の理解度の把握 | その場の反応で判断 | 把握しにくい | 視聴データで一部把握できる | 提出物で把握できる |
形式を選ぶうえで最も判断を左右するのは「同じ内容を何回使うか」です。年1回の研修ならスライドで十分ですが、入社のたびに実施する内容であれば、初回の工数をかけてでも繰り返し使える形にしたほうが、通算の手間は小さくなります。
スライド資料
集合研修やオンライン研修で最も使われる形式です。講師の説明を補う前提で作るため、書き込みすぎないことが要点になります。
配布資料
研修後の復習と社内共有に向いています。スライドより詳しく書けるため、制度の説明や業務手順のように、後から正確に確認したい内容に適しています。
動画教材
時間と場所を問わず視聴できる形式です。所作や話し方を伝えたいテーマとの相性が良く、受講者が知りたい内容を選びながら視聴できる形にすれば、必要な箇所だけを見てもらうこともできます。ただし初回の制作工数は他の形式より大きくなるため、繰り返し使う研修から着手するのが現実的です。
参考:動画作成ツールおすすめ6選|初心者向け無料ツールとビジネス活用を解説
ワークシート
受講者が考えながら書き込む資料です。課題の整理やアクションプランの作成に使うと、理解度が提出物として残ります。
研修資料づくりでつまずきやすい3つの課題と対処法
手順どおりに作っても、実際の運用では次の3つで行き詰まることが多くあります。着手する前に、対処の見通しを持っておいてください。
作成に時間がかかり、研修そのものの準備を圧迫する
資料作成は、研修の企画、受講者の日程調整、会場や配信環境の準備と並行して進むため、最も後回しにされやすい作業です。当社のお客様からも、突発的に全社研修を実施することになり、そのたびに資料作成と会場確保の工数がかかっているという声を伺っています。
対処法としては、手順1と手順2に時間を寄せて、手順3以降を短くします。ゴールと扱う範囲さえ決まっていれば、スライドの作成そのものは短時間で終わります。逆に、設計を飛ばして作り始めると、途中で構成を組み直すことになり総時間は延びます。
内容を更新するたびに作り直しが発生する
制度や商品が変われば、資料も直す必要があります。このとき、全ページを1つのファイルで作っていると、変更箇所を探すところから始めることになります。
対処法は、変わりやすい情報と変わりにくい情報をページ単位で分けることです。判断の考え方や手順の骨格は変わりにくく、金額、日付、担当部署、システムの画面は変わりやすい情報です。後者を数ページにまとめておけば、更新時に触る範囲がそのページだけで済みます。
話す人によって伝わり方が変わる
同じ資料を使っても、講師が変われば説明の順序も、補足の量も変わります。拠点や店舗が複数ある企業では、この差が受講者の理解度の差に直結します。
当社のお客様からも、社員教育を人が対応しているために人によって説明内容や質が異なる、という課題を複数社から伺っています。多店舗展開されている企業からは、教育が属人化していて、新人が一人前になるまでの過程が見えないという声もありました。
対処法は2つあります。1つは、手順4で触れたノート欄への書き残しを徹底し、誰が担当しても同じ流れをたどれるようにすることです。もう1つは、繰り返し実施する研修に限って説明そのものを動画にし、講師による差が出ない状態にすることです。
まとめ
研修資料は、スライドを作り始める前の設計でほぼ決まります。受講後にとってほしい行動をゴールとして定め、受講者の現在地を確かめて扱う範囲を絞り、導入から振り返りまでの流れに沿って並べる。この順番を踏めば、限られた準備時間でも研修として成立する資料になります。
そのうえで、本記事の基本構成テンプレートとテーマ別の構成例を、自分の研修テーマに当てはめて目次を書き出してみてください。目次が書けた時点で、資料作成の大半は終わっています。
形式の選び方と課題への対処は、その研修を何回実施するかによって変わります。年に何度も繰り返す内容であれば、初回の設計に時間をかけるほど、2回目以降の作成工数を減らせます。
2回目以降も使われる研修資料にするために
研修資料を作り終えたあとに残る課題は、受講者がどこまで理解できたのかを確かめる手段がないことです。研修後のアンケートでは満足度は分かりますが、資料のどこでつまずいたのかまでは残りません。
Video Agent「TALKsmith」は、研修資料をもとにAIが説明を行い、受講者の質問や選択に応じて説明内容が変わる対話型の動画を作成できるサービスです。誰が説明しても同じ内容を届けられるため、講師による差がなくなります。あわせて、受講者がどの説明を選び、どこで視聴をやめたのかがデータとして残るため、次に資料を更新するときに直す箇所を判断できます。
同じ内容を何度も届ける研修ほど、この形にしておく効果は大きくなります。
研修資料に関するよくある質問
Q1. 研修資料は何枚くらいが適切ですか
枚数そのものに正解はありませんが、1時間の研修であれば15〜20枚程度を目安にすると、1スライド1メッセージを保ちやすくなります。目安を大きく上回るときは、扱う範囲が広すぎる可能性があるため、手順2に戻って受講者の現在地との差を確認してください。
Q2. スライドと配布資料は分けるべきですか
可能であれば分けることをおすすめします。スライドはその場で伝えることに特化させ、配布資料は後から読み返せるように詳しく書く、という役割分担にすると、どちらも目的を果たせます。分ける時間が取れない場合は、スライドのノート欄に補足を書いて配布資料を兼ねる方法もあります。
Q3. 事前課題の資料はどのように用意すればよいですか
事前課題は、知識を先に詰め込ませるためではなく、受講者に自分の現在地を自覚してもらうために使います。設問は3問程度に絞り、これまでの経験、実務での関わり、今困っていることを聞く形にすると、当日の研修で扱う範囲を絞る材料としても使えます。分量が多いと提出率が下がるため、10分以内に終わる量にとどめてください。
Q4. 研修資料のテンプレートは自作すべきですか
自社で繰り返し実施する研修があるなら、自作をおすすめします。「表紙、アジェンダ、目的とゴール、本題、演習、振り返りとアクション設定」の骨格をファイルとして用意し、デザインのルールを揃えておくだけで、次回以降の作成時間は大きく短縮できます。テーマごとの構成例も、実施のたびに追記していくと使える型が増えていきます。
Q5. 動画教材に向いているのはどのような研修ですか
同じ内容を何度も実施する研修と、動きや話し方を伝えたい研修です。入社のたびに実施する新入社員研修や、拠点が複数あって同じ内容を各地で実施している研修は、初回の制作工数を回収しやすくなります。反対に、その年限りのテーマや、受講者に合わせて内容を変える研修では、スライドとワークシートで進めたほうが手間がかかりません。
動画教材の具体的な作り方は、以下の記事で解説しています。
参考:動画マニュアルの作り方完全ガイド|最新の活用事例と成果を出す運用法


