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【2026】採用活動を改善する方法|採用プロセス・歩留まり・業務効率の見直し方

Mio TakahashiMio Takahashi|2026-01-30公開|2026-07-28更新

【2026】採用活動を改善する方法|採用プロセス・歩留まり・業務効率の見直し方

採用活動では、「応募が増えない」「選考途中で辞退される」「内定を出しても承諾されない」「担当者の工数が限界」といった課題が起こりがちです。こうした課題は、求人媒体数やスカウト数を増やすだけでは解決しません。採用成果は、採用プロセス全体の設計、品質に左右されるためです。

課題解決のためには、採用活動の各プロセスを数値で可視化し、応募・選考・内定・入社のどこで機会損失が起きているかを特定したうえで、採用チャネル、求人票、候補者対応、面接、内定フォロー、業務体制を見直す必要があります。

本記事では、採用活動を見直すための基本的な考え方から、見るべきKPI、歩留まり改善、フェーズ別の具体策、採用競合に勝つための3C分析、採用活動を効率化するツール活用までを解説します。感覚的な採用活動から脱却し、データと候補者体験に基づいて採用成果を高めたい方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事の内容
  1. 採用活動を継続的に見直すべき理由
  2. 採用プロセスの全体像と見るべき指標
  3. 採用がうまくいかない主な原因
  4. フェーズ別|採用活動を改善する具体策
  5. 採用競合に勝つための3C分析
  6. 採用業務を効率化するツール・施策
  7. 採用活動を改善する手順
  8. 採用活動の改善チェックリスト
  9. まとめ
  10. 採用活動の改善に関するよくある質問

採用活動を継続的に見直すべき理由

採用活動では、「応募数」や「採用数」を増やすことに意識が向きがちです。しかし、現在は「採用の数」を追うだけでなく、「採用の質」を高めることが求められています。その背景には、採用市場の変化があります。「候補者に選ばれる」ため「候補者体験」を設計し「業務効率」を改善する必要があります。

採用競争の激化により「選ばれる理由」が必要になっている

採用市場では、同じ職種やスキルを求める企業同士が候補者を取り合っています。さらに、候補者は同業他社だけでなく、異業界、大手企業、スタートアップ、リモートワーク可能な企業など、幅広い選択肢を比較しています。

たとえば、Webマーケターを採用したい企業の場合、候補者は広告代理店、事業会社、SaaS企業、コンサルティング会社など複数の選択肢を検討している可能性があります。

このとき、自社の給与条件や業務内容だけを伝えても、意思決定を後押しするには不十分です。どのような裁量があるのか、どのような成長機会があるのか、なぜ今このポジションが重要なのかまで伝える必要があります。

候補者体験が採用成果に直結する

候補者体験とは、候補者が企業を認知してから応募し、選考を受け、内定・入社に至るまでの一連の体験を指します。

候補者体験が悪化すると、応募後の辞退、面接辞退、内定辞退が起こりやすくなります。たとえば、応募後の返信が遅い、面接日程の調整に時間がかかる、面接官によって話す内容が違う、会社の魅力や働き方が十分に伝わらないといった状態では、候補者は不安を感じます。

一方で、応募後すぐに連絡があり、選考前に会社や職種への理解を深められ、面接では候補者の関心に沿った対話ができれば、候補者は安心して選考に進みやすくなります。候補者体験の設計については「候補者体験(採用CX)とは?向上方法・改善施策・事例をわかりやすく解説」でも詳しく解説しています。

採用担当者の業務過多と対応スピードの重要性

採用担当者は、求人票作成、媒体運用、スカウト送信、応募者対応、日程調整、面接官調整、合否連絡、内定者フォロー、採用広報など、多くの業務を同時に担っています。中でも負荷が大きいのが、会社説明や選考説明など、候補者ごとに繰り返し発生する「伝える業務」です。

株式会社LOOVが人事担当者470名に実施した調査では、選考説明や会社紹介といった伝える業務に負担を感じる人が82.3%にのぼりました。特に負担の大きい業務として最も多かったのは「選考フローの説明」で、54.1%が挙げています。同じ説明を毎回人が担う構造は、採用担当者を疲弊させるだけでなく、候補者対応のスピード低下にもつながります。

採用活動の見直しでは、まず「人が毎回説明している業務」を洗い出すことが重要です。定型的な説明や日程調整は仕組み化し、採用担当者は候補者の見極め、魅力付け、意思決定支援に時間を使える状態を目指しましょう。

採用プロセスの全体像と見るべき指標

採用活動を改善するには、採用プロセスを分解し、各フェーズの状態を数値(指標:KPI)で把握する必要があります。最終的な採用人数だけを見ていても、どこに課題があるのかはわかりません。

応募数が少ないのか、応募はあるが書類選考を通過しないのか、面接設定まで進まないのか、面接後に辞退されているのか、内定承諾で失注しているのかによって、打つべき施策は変わります。

採用プロセスの基本ステップ

採用プロセスは、一般的に以下の流れで進みます。

ステップ主な内容改善で見るべき観点
採用計画採用人数、職種、時期、予算を決める事業計画と採用要件が連動しているか
要件定義採用ターゲット、必須条件、歓迎条件を整理する要件が高すぎないか、現場と合意できているか
母集団形成求人媒体、スカウト、紹介、採用広報で候補者と接点を作るターゲットに合う候補者に届いているか
応募・エントリー候補者が応募する応募ハードルや求人訴求に課題がないか
書類選考・面接候補者を見極め、相互理解を深める評価基準、面接品質、候補者体験にブレがないか
内定・オファー条件提示と意思決定支援を行う内定承諾率、競合比較、不安解消が十分か
入社・定着入社後のオンボーディングを行う入社後ギャップや早期離職が起きていないか

採用分析をより体系的に進めたい場合は、関連記事「採用分析のやり方完全ガイド|課題特定から改善までデータで導く」もあわせて確認すると、自社の採用ファネルを整理しやすくなります。

採用プロセス各フェーズの歩留まり

採用活動の改善で重要な指標(KPI)は、採用の歩留まりです。歩留まりとは、採用プロセスの各フェーズで候補者がどれだけ次のステップに進んだかを示す割合です。算出方法は下記の通りです。

歩留まり率=(次の段階に進んだ人数 ÷ その段階の人数)× 100

具体的な指標の計算式と、それぞれの指標から見える課題を整理しておきましょう。

指標(KPI)計算式見える課題
書類選考通過率書類選考通過者数 ÷ 応募者数 × 100応募者の質、求人訴求、採用要件の妥当性
面接設定率面接設定者数 ÷ 書類選考通過者数 × 100連絡スピード、日程調整、候補者の温度感
選考辞退率選考辞退者数 ÷ 選考中候補者数 × 100候補者体験、選考スピード、競合負け
内定承諾率内定承諾者数 ÷ 内定者数 × 100魅力付け、条件提示、内定後フォロー
入社後定着率一定期間後の在籍者数 ÷ 入社人数 × 100採用ミスマッチ、期待値調整、オンボーディング

応募数は多いのに書類選考通過率が低い場合、求人票がターゲットと異なる候補者を集めている可能性があります。一方で、面接設定率が低い場合は、連絡が遅い、日程調整が煩雑、選考前に十分な魅力付けができていないといった課題が考えられます。採用の歩留まりを詳しく改善したい場合は、「採用の歩留まりとは?原因と改善方法を整理する実践ガイド6施策」も参考になります。

ボトルネックを見つけるKPI診断表

採用活動を見直す際は、全フェーズを一度に改善しようとするのではなく、最も機会損失が大きいボトルネックを特定することが重要です。

課題の症状確認すべきKPI想定される原因優先施策
応募が少ない求人閲覧数、応募数、スカウト返信率認知不足、訴求不足、媒体ミスマッチ求人票改善、媒体見直し、スカウト文面改善
応募はあるが通過しない書類選考通過率ターゲットずれ、要件過多、求人内容の誤解採用要件の見直し、求人票の具体化
面接設定につながらない面接設定率、返信率連絡遅延、志望度不足、日程調整の煩雑さ連絡スピード改善、日程調整ツール導入、事前説明
面接後の辞退が多い選考辞退率、一次面接後辞退率面接体験の悪化、魅力付け不足、情報不足面接官教育、候補者フォロー、会社説明コンテンツ整備
内定承諾されない内定承諾率競合比較での劣後、不安解消不足、条件不一致オファー面談、採用クロージング、内定者フォロー
入社後に定着しない入社後定着率、早期離職率期待値のずれ、入社前説明不足、オンボーディング不足RJP、入社前フォロー、オンボーディング改善
採用担当者が忙しすぎる対応リードタイム、日程調整工数、説明工数ノンコア業務過多、属人化、ツール未整備ATS、日程調整ツール、説明業務の自動化

KPIを見るときに見落としがちなのが、ファネル後半の取りこぼしです。実際にLOOVへ相談する採用企業からも、「応募から内定承諾までは進むのに、最終的な採用に結びつけきれない」「候補者のグリップが難しい」といった声が寄せられています。応募数のような入口の数字だけでなく、承諾率や入社率など後半の歩留まりにボトルネックがないか、段階ごとに切り分けることが重要です。

採用がうまくいかない主な原因

採用がうまくいかない原因は、単に「人材不足」や「条件が悪い」だけではありません。採用ターゲットの曖昧さ、情報提供不足、候補者対応の遅れ、面接品質のばらつき、内定後フォロー不足などが複合的に影響しています。

ターゲット設定が曖昧になっている

採用活動の出発点は、どのような人材を採用したいのかを明確にすることです。しかし、現場からの要望をそのまま求人票に反映すると、「即戦力」「コミュニケーション力が高い」「自走できる」「業界経験者」「マネジメント経験あり」といった条件が並び、実際には市場にほとんど存在しない人物像になってしまうことがあります。

たとえば、営業職採用で「新規開拓経験」「大手企業向け提案経験」「SaaS経験」「マネジメント経験」をすべて必須条件にすると、対象者は大幅に絞られます。この場合、改善すべきなのは媒体ではなく、採用要件の優先順位です。入社直後から必要なスキル、入社後に習得可能なスキル、あれば望ましい経験に分けて整理する必要があります。

求人票やスカウトの訴求が候補者に刺さっていない

応募数やスカウト返信率が伸びない場合、求人票やスカウト文面が候補者の関心に合っていない可能性があります。企業側は「成長環境」「裁量」「働きやすさ」を訴求しているつもりでも、候補者が知りたいのは、具体的な業務内容、配属チーム、評価基準、キャリアパス、働く人の雰囲気かもしれません。

さらに、訴求が刺さらない背景には、「そもそも自社が何をしている会社か伝わっていない」という課題もあります。LOOVへ相談する企業からも、「自社の事業が分かりづらい」「ToB領域なので、候補者に興味を持って追いかけてもらいにくい」という声が寄せられています。求人票の表現を磨く前に、事業の価値をひと目で理解してもらう工夫ができているかを見直すことが重要です。

スカウトについても、定型文のようなメッセージでは候補者に響きません。候補者の経験に触れたうえで、なぜ声をかけたのかを明確にする必要があります。スカウト返信率の改善については、「スカウト返信率が伸びない原因とは?平均比較で終わらせない3つの改善方法」で詳しく解説しています。

選考スピードが遅く候補者体験が悪化している

優秀な候補者ほど複数社の選考を同時に受けています。そのため、応募後の返信や面接日程の調整が遅れると、候補者の関心が他社へ移ってしまいます。

たとえば、書類選考通過後に面接候補日を提示するまで3日以上かかり、さらに日程確定まで数日かかると、候補者は「この会社は採用意欲が低いのではないか」と感じる可能性があります。採用プロセスを改善するには、応募後の初回連絡、書類選考結果の通知、面接日程調整、面接後フォローのリードタイムを可視化し、短縮することが重要です。

採用オペレーションの整備については、「採用オペレーションとは?業務の全体像と候補者体験を高める4つの改善策」も参考になります。

面接で魅力付けができていない

面接は、候補者を評価する場であると同時に、候補者が企業を評価する場でもあります。見極めだけに偏った面接では、候補者の入社意欲を高めることはできません。

候補者が「裁量」を重視しているなら意思決定の速さや任される範囲を説明し、「成長環境」を重視しているなら育成体制や評価制度を伝える必要があります。そのためには、面接前に候補者の関心や不安を把握し、面接官が適切な情報を準備できる状態を作ることが重要です。

アトラクト面談の設計については、「採用で選ばれるアトラクト面談とは?辞退を防ぐための5つの活用シーンと3つの設計ポイント」で詳しく解説しています。

内定後フォローが不足している

内定を出した後も、候補者の意思決定は続いています。特に中途採用では、現職への退職交渉、家族への相談、他社オファーとの比較、入社後の不安など、承諾までに複数の心理的ハードルがあります。

LOOVへ相談する採用企業でも、内定承諾率が約50%にとどまり、「せっかく内定まで進んだ候補者をグリップしきれない」ことを課題に挙げるケースがあります。内定はゴールではなく、入社まで候補者の不安に伴走する設計があるかどうかで、最終的な採用数は大きく変わります。

内定辞退を防ぐには、内定後に初めてフォローするのではなく、選考中から候補者の意思決定軸を把握しておくことが重要です。詳しくは「採用クロージング5ステップ|内定辞退を防ぐ意思決定プロセス設計」や「内定者フォロー完全ガイド|内定辞退を防ぐ5つのポイントと事例4選」も参考にしてください。

採用担当者がノンコア業務に追われている

採用担当者が多忙になると、候補者対応の遅れや面接官との連携不足が起こりやすくなります。結果として、候補者体験が悪化し、選考辞退や内定辞退につながります。

採用担当者が本来注力すべきなのは、採用戦略の設計、候補者の見極め、魅力付け、現場との合意形成、採用データの分析です。日程調整、同じ会社説明の繰り返し、候補者への定型案内、進捗管理などに時間を取られすぎている場合は、業務の標準化と自動化を進める必要があります。

フェーズ別|採用活動を改善する具体策

採用活動を見直す際は、課題が発生しているフェーズごとに打ち手を変える必要があります。ここでは、採用計画から入社後定着まで、フェーズ別に具体的な改善策を解説します。

採用計画・要件定義を見直す

採用活動を改善する最初のステップは、採用計画と要件定義の見直しです。採用計画が事業計画と連動していない場合、採用すべき職種や人数、時期が曖昧になります。また、要件定義が不十分だと、求人票、スカウト、面接評価、内定判断のすべてがぶれてしまいます。

たとえば、「営業職を採用したい」という依頼だけでは、必要な人材像は明確になりません。新規開拓を担うのか、既存顧客の深耕を担うのか、エンタープライズ向けなのか、中小企業向けなのかによって、求める経験や強みは変わります。採用要件を見直す際は、理想条件をすべて並べるのではなく、入社後すぐに必要な条件と、育成可能な条件を分けて整理しましょう。

求人票・スカウト文面を改善する

母集団形成に課題がある場合、求人票やスカウト文面の改善が必要です。応募数が少ないとき、すぐに媒体を増やしたくなりますが、訴求内容が弱いまま露出を増やしても成果は限定的です。

求人票では、仕事内容を抽象的に書くのではなく、入社後に担当する業務、ミッション、チーム構成、期待する成果、得られる経験を具体的に示します。スカウト文面では、候補者の経験に触れたうえで、なぜ声をかけたのか、自社でどのような機会を提供できるのかを明確にします。

母集団形成の全体設計については「採用の母集団形成を成功させる5ステップ|失敗例と改善策から成果につなげる方法」も参考になります。

採用サイト・会社説明コンテンツを整備する

候補者は、応募前や選考中に採用サイト、求人票、会社説明資料、口コミサイト、SNSなどを見ながら企業理解を深めています。そのため、採用サイトの未整備や会社説明コンテンツの不足は、候補者が応募や選考継続をためらう機会損失につながります。

LOOVが人事担当者470名に実施した調査では、説明が十分に理解されていないと感じる人が83.6%にのぼりました。担当者による口頭説明は内容にばらつきが出やすく、候補者の理解度も安定しません。会社紹介、事業説明、選考フローを、資料や動画などの再利用可能なコンテンツに落とし込むことで、情報提供の品質が標準化され「伝わり方」が安定します。

特に、事業内容が複雑なBtoB企業や、職種ごとに伝えるべき情報が異なる企業では、候補者が知りたい情報を自分のタイミングで確認できる状態を作ることが有効です。採用における動画活用については、「インタラクティブ動画を採用で活用する方法」でも詳しく解説しています。

応募後の連絡・日程調整を短縮する

応募後の対応スピードは、採用プロセスを見直す中で即効性が高い領域です。候補者は複数社の選考を並行して進めているため、連絡が遅い企業は比較対象から外れやすくなります。

改善するには、応募後の初回連絡、書類選考結果の通知、面接日程の確定までの時間を可視化します。そのうえで、日程調整ツールの導入、面接枠の事前確保、面接官へのリマインド自動化、合否判断の期限設定などを行います。メールの往復を減らし、候補者が自分で面接枠を選べる状態を作るだけでも、候補者体験と採用担当者の工数は改善しやすくなります。

面接官の評価基準と魅力付けを統一する

面接品質のばらつきは、採用成果を安定させるうえで大きな課題です。面接官ごとに評価基準が異なると、候補者を正しく見極められないだけでなく、候補者に伝わる会社の印象も不安定になります。

LOOVの調査では、担当者や伝え方によって候補者への伝わり方に差が出ると答えた人が89.1%に達しました。評価基準だけでなく、自社の魅力の伝え方についても共通の型を用意し、どの面接官が対応しても魅力付けの質が落ちない状態を作ることが求められます。

面接を改善する際は、評価項目、質問例、合否基準、候補者に伝えるべき魅力を事前に整理します。また、候補者ごとに重視しているポイントを面接官へ共有することで、見極めと魅力付けの両方を強化できます。

内定承諾率を高めるオファー面談・内定者フォローを行う

内定承諾率を改善するには、内定後の対応だけでなく、選考中から候補者の意思決定軸を把握しておくことが重要です。候補者が転職で重視していること、現職への不満、他社選考の状況、入社にあたっての不安を理解していなければ、適切なクロージングはできません。

オファー面談では、条件提示だけでなく、候補者が入社後に担う役割、期待する成果、評価のされ方、チーム体制、入社後のサポートを具体的に伝えます。内定承諾後も、配属予定チームとの接点、入社前面談、オンボーディング資料、社員インタビューなどを通じて、入社後のイメージを維持することが重要です。

入社後の定着・活躍まで改善対象に含める

採用活動の見直しは、入社が決まった時点で終わりではありません。入社後に早期離職が発生している場合、採用時の情報提供、期待値調整、オンボーディングに課題がある可能性があります。

求人票や面接では「裁量が大きい」と伝えていたものの、実際には既存ルールに沿った運用業務が中心だった場合、候補者は入社後にギャップを感じます。選考段階で魅力だけでなく、入社後に直面する課題や期待する役割も正直に伝えることで、ミスマッチを防ぎやすくなります。

採用競合に勝つための3C分析

採用成果を高めるには、自社の採用活動だけを見るのではなく、候補者と採用競合の視点を取り入れる必要があります。そこで有効なのが、採用版3C分析です。

採用版3C分析では、Customerを候補者、Competitorを採用競合、Companyを自社と捉えます。候補者が何を求め、競合が何を訴求し、自社がどの価値で選ばれるのかを整理することで、求人票、スカウト、会社説明、面接、内定フォローの精度を高められます。

Customer:ターゲット候補者のインサイトを把握する

候補者が転職や就職で重視していることは、職種、年齢、経験、ライフステージによって異なります。若手営業職であれば、成長環境、上司からのフィードバック、成果に応じた評価を重視するかもしれません。経験豊富なマネージャー候補であれば、事業の成長性、経営陣との距離、裁量、報酬水準を重視する可能性があります。

採用活動を改善するには、候補者を一括りにせず、ターゲットごとに知りたい情報や不安を整理する必要があります。カジュアル面談や面接で得た質問、辞退理由、内定承諾者の決め手を蓄積すると、候補者インサイトを把握しやすくなります。

Competitor:同業以外も含めた採用競合を特定する

採用競合は、必ずしも事業上の競合と一致しません。同じ職種・スキルを求める企業はすべて採用競合になり得ます。

たとえば、SaaS企業がカスタマーサクセス職を採用する場合、競合は同じSaaS企業だけではありません。コンサルティング会社、BPO企業、ITベンダー、スタートアップなども候補者の比較対象になる可能性があります。競合企業の求人票、採用サイト、スカウト文面、社員インタビュー、口コミを確認すると、自社が補強すべき訴求や説明不足のポイントが見えてきます。

Company:自社独自の提供価値を言語化する

候補者と競合を理解したら、自社が提供できる価値を整理します。ここで重要なのは、一般的な魅力ではなく、ターゲット候補者にとって意味のある魅力を言語化することです。

「風通しが良い」「成長できる」「裁量がある」といった表現は、多くの企業が使っています。採用活動を見直す際は、実際にどのような場面で意見を言えるのか、どのような業務を任されるのか、どのようなスピードで成長できるのかを具体化する必要があります。

採用業務を効率化するツール・施策

採用成果を継続的に高めるためには、担当者の努力だけに頼らない仕組みづくりが必要です。採用担当者がすべての業務を手作業で対応していると、分析や候補者フォローに時間を割けません。採用ツールや外部リソースの活用が有効です。

ATS・日程調整ツールで選考管理を効率化する

ATSは、応募者情報、選考ステータス、面接評価、合否連絡などを一元管理する採用管理システムです。候補者情報がスプレッドシートやメールに分散していると、対応漏れや進捗確認の遅れが起こりやすくなります。

ATSを導入すると、候補者ごとの進捗、面接官の評価、選考フェーズごとの歩留まりを確認しやすくなります。日程調整ツールも、候補者が自分で面接枠を選べるようになるため、メールの往復を減らし、面接設定までのリードタイムを短縮できます。

RPO・採用代行でノンコア業務を外部化する

採用担当者のリソースが不足している場合は、RPOや採用代行の活用も選択肢になります。求人媒体運用、スカウト送信、応募者対応、日程調整、レポーティングなどを外部に委託することで、採用担当者は戦略設計や候補者フォローに集中しやすくなります。

ただし、採用ターゲット、訴求、評価基準、候補者体験の方針が曖昧なまま外部化すると、成果が出にくくなります。RPOを活用する場合は、採用戦略や候補者へのメッセージ設計は自社で握り、運用業務を外部化することが重要です。

生成AIで求人票・スカウト・面接質問の作成を補助する

生成AIは、求人票のたたき台作成、スカウト文面の改善、面接質問の作成、候補者への案内文作成、FAQ作成などに活用できます。初稿作成や情報整理の工数を削減できるため、採用担当者の負担軽減に有効です。

ただし、生成AIが作成した文章をそのまま使うのではなく、自社の実態や候補者インサイトに合わせて編集することが重要です。採用活動では、誇張表現や実態と異なる訴求がミスマッチにつながるため、最終的な品質管理は人が担う必要があります。

インタラクティブ動画で説明を自動化、候補者の関心データを活用する

会社説明や一次面接のような繰り返しの説明は、動画やインタラクティブなコンテンツに任せられる領域です。LOOVの調査でも、動画・インタラクティブで代替してみたい業務として「カジュアル面談・一次面接の代替」が47.2%、「会社紹介・選考説明」が37.6%と上位に挙がりました。

また、候補者が説明を「見たか」「理解したか」を把握できていない担当者は38.8%にのぼり、伝えっぱなしが採用活動を見直す際の盲点になっています。会社説明を24時間見られる状態にすれば、説明会の日程に縛られず、候補者との接点を増やせます。さらに、誰がどこまで見て、どの情報に関心を持ったかを把握できれば、優先的にフォローすべき候補者の見極めにも活用できます。

Video Agent「TALKsmith」は、候補者ごとに最適化された会社説明を24時間365日提供し、候補者の関心データを可視化できます。候補者が「キャリアパス」に強い関心を示しているなら面接で評価制度や成長事例を補足し、「働き方」を詳しく見ているならチームの働き方やオンボーディング体制を伝えるなど、面接やフォローの個別最適化につなげられます。

採用担当者の説明業務負荷をさらに深掘りしたい場合は、「人事の説明業務を効率化する方法を紹介|8割が抱える『説明疲れ』の原因と解決策」も参考になります。

採用活動を改善する手順

採用活動を見直す際は、思いついた施策から実行するのではなく、現状把握、課題特定、施策実行、検証の順で進めることが重要です。

1. 現状の採用ファネルを数値化する

まずは、応募数、書類選考通過数、面接設定数、一次面接通過数、最終面接数、内定数、内定承諾数、入社数を一覧化し、各フェーズの通過率を算出します。職種別、採用チャネル別、新卒・中途別に分けて見ると、特定の職種だけ面接設定率が低い、特定の媒体だけ応募者の質が合わないといった課題を把握しやすくなります。

2. ボトルネックを1つに絞る

次に、最も改善インパクトが大きいボトルネックを特定します。内定承諾率が低いにもかかわらず応募数を増やしても、最終的な採用数は増えにくい可能性があります。この場合は、まずオファー面談、競合比較、内定後フォローを見直すべきです。

3. 改善施策を小さく試す

ボトルネックを特定したら、特定の職種、特定の媒体、特定の選考フェーズで改善施策を試します。たとえば、スカウト返信率が低い場合は、件名、冒頭文、訴求軸、送信タイミングを変えた複数パターンを試します。面接後辞退が多い場合は、面接前に会社説明動画を送付する、面接後24時間以内にフォロー連絡を入れるなどの施策が考えられます。

4. KPIを見ながら継続改善する

最後に、施策の効果をKPIで確認します。会社説明コンテンツを改善した後に、面接設定率や一次面接後の辞退率がどう変化したかを確認します。内定者フォローを強化した場合は、内定承諾率だけでなく、入社前の不安や入社後の定着状況も確認しましょう。

採用活動の改善チェックリスト

継続的な改善のため、実践状況を確認するためのチェックリストを用意しました。定期的にこのリストを見直し、PDCAを回し続けてください。

戦略・計画
  • 採用プロセスの各歩留まり(KPI)を数値で把握できているか?
  • ターゲットとなる人材のペルソナとインサイトは言語化できているか?
  • 採用競合(同業以外含む)の条件や強みを把握しているか?
  • 自社独自の提供価値(EVP)は明確か?
母集団形成
  • 求人票はターゲットへのメリットが具体的に書かれているか?
  • スカウトメールは候補者ごとにカスタマイズされているか?
  • 複数のチャネル(媒体、紹介、ダイレクト)を使い分けているか?
選考・面接
  • 応募や問い合わせに対して24時間以内に返信しているか?
  • 面接官は「魅力付け」の意識を持って対応しているか?
  • 合否連絡だけでなく、フィードバック等の付加価値を提供しているか?
内定・フォロー
  • オファー面談を実施し、条件や期待値を直接伝えているか?
  • 内定承諾後のフォロー計画(懇親会など)は決まっているか?
  • 辞退理由を分析し、次の施策に活かせているか?

チェックが少ない領域は、改善の優先候補です。特に、候補者対応、面接、内定フォロー、業務効率は、短期間でも改善しやすい領域です。採用の属人化が課題になっている場合は、「採用の属人化を解消する5つのステップ|経営リスクを回避する標準化とDX」も参考になります。

まとめ

採用活動の改善は、採用活動の各プロセスを可視化し、応募・選考・内定・入社のどこで機会損失が起きているかを特定したうえで、採用活動全体を見直す取り組みです。

採用成果が伸びないとき、まず応募数を増やす施策に目が向きがちです。しかし、重要なのは、採用ファネル全体を見て、どこにボトルネックがあるのかを判断することです。応募数が不足しているのか、面接設定につながっていないのか、面接後に辞退されているのか、内定承諾で競合に負けているのかによって、打つべき施策は変わります。

また、採用活動の見直しは企業側の業務効率だけでなく、候補者体験の改善とセットで考える必要があります。候補者が必要な情報を適切なタイミングで得られ、選考中に安心して意思決定できる状態を作ることで、歩留まりや内定承諾率の改善につながります。

採用担当者がすべてを人力で対応するには限界があります。ATS、日程調整ツール、生成AI、インタラクティブ動画などを活用し、定型業務や説明業務を効率化することで、採用担当者は候補者の見極めや魅力付け、採用戦略の改善に集中できます。

「説明」をAIに任せて、
候補者の「関心データ」を手に入れるなら
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CS/髙橋 美緒

Mio Takahashi

2019年に(株)イオレへ新卒入社。人材領域を中心に、求人広告の営業に従事し、新人賞・売上表彰を受賞。その後、(株)サイバーエージェントにてSEMコンサルタントとして人材企業を中心とした採用マーケティング支援を担当。その後、CVCファンド運営や新規事業支援にも携わり、現在は(株)LOOVに参画。FSチームリーダーを経て、現在はHR領域のCSを担当。新卒・中途採用における採用プロセス全体の改善を支援し、Video Agentを活用した「説明業務の自動化」や、採用目標達成に向けたコンサルティング支援を推進。

採用活動の改善に関するよくある質問

Q. 改善の効果が出るまでどのくらいの期間がかかりますか?

施策によりますが、スカウト文面の改善や返信スピードの向上などは即日効果が期待できます。一方で、3C分析に基づく採用広報や認知獲得といった根本的な改善には、通常3ヶ月〜半年程度の期間を見ておく必要があります。

Q. 予算がほとんどありませんが、改善は可能ですか?

可能です。求人票のリライト、面接での魅力付けの見直し、日程調整のスピードアップなどはコストをかけずに実行でき、かつ効果が高い施策です。数量が多くなければ、生成AIの無料プランでも初期段階としては十分です。まずは「お金のかからない改善」から着手しましょう。

Q. 採用で競合する企業の情報はどうやって集めればいいですか?

求人サイトでの検索はもちろん、OpenWork(社員による会社評価)などの企業クチコミサイトを確認したり、面接時に候補者へ「差し支えなければ、他にどのような企業を受けていますか?」と率直に聞いたりすることも有効な情報収集手段です。

Q. 現場の面接官(配属部署)が非協力的で、選考スピードが上がりません。どう対応すべきですか?

採用活動の見直しを「人事だけの課題」から「事業部の課題」へシフトさせる必要があります。具体的には、選考遅延による「辞退の損失額(機会損失)」を数値で示したり、現場の負担を減らすための「1次面接の代行」や「日程調整ツールの導入」を人事主導で提案したりするのが有効です。また、経営層から「採用は最優先事項である」というメッセージを全社に発信してもらうことも、現場を動かす大きな力になります。

Q. 3C分析で導き出した「自社の強み」を、具体的にどの媒体で発信するのが最も効果的ですか?

ターゲット(Customer)の行動特性に合わせて選びます。潜在層(まだ転職を考えていない層)に届けるなら、SNSやオウンドメディアを通じたストーリー発信が有効です。一方、顕在層(すぐにでも転職したい層)には、求人票のタイトルやダイレクトスカウトの冒頭にその強みを凝縮して記載するのが最短ルートです。一つの媒体に絞らず、3Cで定義したメッセージを一貫して全てのタッチポイントで発信する「一貫性」が、ブランド構築の鍵となります。

Q. リファラル採用(社員紹介)を強化したいのですが、この記事の改善策とどう組み合わせればよいですか?

リファラル採用は、本記事で解説した「EVP(自社独自の提供価値)」を既存社員が深く理解し、誇りに思っているときに最も加速します。まずは記事にある3C分析の内容を社内に共有し、「私たちの会社は、ターゲットにとってこういう価値がある」という共通認識を醸成してください。その上で、紹介プロセスの簡略化(ATSの活用など)を行うことで、紹介の質と量の両方を高めることができます。

Q. 改善を進めた結果、応募は増えましたが「早期離職」が減りません。どこに問題があるのでしょうか?

「魅力付け(アトラクション)」と「見極め(スクリーニング)」のバランスが崩れている可能性があります。熱心なあまり、自社の良い面だけを強調しすぎて「入社後のリアリティ・ショック」を生んでいるかもしれません。改善策として、選考の初期段階であえて仕事の厳しさを伝える「RJP(現実的な仕事プレビュー)※」を取り入れることや、入社後の定着率を「最終的な採用KPI」として再設定し、選考基準をアップデートすることをお勧めします。

※RJPとは、採用活動において、仕事や組織の良い面だけでなく悪い面も含めた情報を、企業が求職者に提供する手法です。

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